マタニティマークは危険?
先日こんな記事を読んだ。「マタニティマーク」は危険?という記事である。
主な内容としては、「マタニティーマークのキーホルダーをつけて電車にのると、暴行されたりと危険に晒す場合があるので、注意しよう」という指導を産婦人科から受けた、という一人の女性のツイートに対して、意見が殺到しているというものである。
記事の最後では、こうしめくくられている。
マタニティマークの危険性を認識したうえで、付けないと決めている人の声も複数ある。もちろん、マタニティマークを付けていて、席を譲ってもらったという声や、危険な体験は一度もなかったとする人の声も多く見られるが、付けることによる危険性はゼロといえないのが実情なのかもしれない。
うそだろ、うそだといってくれ
この記事を読んだ時は、「そんな馬鹿な」と思った。そんなことがあったとすれば、悲しい。しかし、実際にそのような意見を見つけた。
悲しいかなあります…物理的な攻撃にあったことはないですけど、言葉では受けたこと1度だけですが>_<
通勤ラッシュ時は皆、心の余裕がなくて、弱者に攻撃したくなるんですかね…T^T
とか
妊娠中や出産後の友だちから「電車とかではめっちゃ舌打ちされる」って度々聞きます。。。
とか。なかなか言語道断だと思った。もちろん、ポジティブな意見もあって、
私は妊娠中、このマタニティーマークのおかげで、お腹は目立たないけどつわりで辛い時期などに席を譲って頂いて、本当に助かりました。今はこのキーホルダーをつけている方を見かけたら席を譲ります。
という意見も。
また、中立的、というかどう思うにせよ個人の自由だという意見もあって
マークをつけるのは、優遇される為じゃなく、私たち大人を将来支えてくれる大切な子供の命を守るため。他人に頼れない世の中だからこそ、自分と自分の子供の命を守っているだけ。
嫌なら、妊婦が目の前にいても無視をすれば良い。
妊婦がマークをつけることも、非妊娠者が気遣いをしないことも、それぞれ当然の権利であり、どちらも間違ってはいない。妊婦なのに譲ってもらえないとか、妊婦のくせに電車乗るなとか、仮に思っても言動に表すのは良くないと思う。
私は初めて妊娠して妊婦の辛さを知ったし、逆に妊娠していない人の気持ちもわかる。
マークをつける本当の意味を社会全体にもっと知ってもらい、逆に妊婦は周りの人に支えられていることを感謝する、お互い歩み寄って暮らせる世の中になって欲しい。
とか。
思うこと
まず、マタニティマークをつけている妊婦に対しても、そのほかの人に対しても、普通に暴力をふるうというのは、人として言語道断。ありえない。
次に、舌打ちや妊婦に対して不快な態度を表すことに関しては、基本的によくないと思う。そういう人は「お腹がでかくて狭い車内でスペースとって、邪魔だなぁ」と思っているのだろうか。
一方で妊婦は、妊娠初期なら「つわりで気持ち悪いし、しんどい」し、妊娠後期なら「お腹が重くてしんどい」から、席が空いていれば、座りたいものだろう。
うーん、妊婦を経験した今となっては、両方の気持ちがわからなくもない。もちろん、みんなが妊婦を歓迎するマインドであってほしいけれども、なかなかそうはならない現実がある中で、ひとついえることは、不快な気持ちを態度で示して、相手に伝えて相手の気分を害するという精神的攻撃はだめだ、と思う。人間的にね。
もちろん、将来の日本のためだという観点からすれば、子供を歓迎することは大切なことだから、妊婦がいたら席を譲るというやさしい気持ちをみんなが持って欲しいと願うばかりである。
私の場合は、妊娠中は実際に上記のような被害はなく、「生まれてきたあなたへ」こっちの記事でも書いたとおり、席をたくさんの人に譲ってもらった。
もちろん、譲ってもらえないときもたくさんあったけど、別に席を譲ってもらうのを期待してマタニティマークをつけているつもりはなかった。お知らせをするという意味でつけていた。
つけるきっかけになったのは、あるとき、優先座席に座っており、目の前に大きなお腹を抱えた妊婦さんがやってきて、「あ、同志だ!」なんて思いながら、しかし当時妊娠初期でつわりでしんどいながらも、あろうことかマタニティマークをつけていなくて、「譲る~、、譲らない~、、ど、どうしよう」と、自分の中で葛藤した。
気持ち悪い私妊婦 VS 目の前に大きなお腹妊婦、、、と。マタニティマークをつけていない私は、他者から見たら席を譲らない往生際の悪い奴なのであって、圧倒的に敗者だ。だから、それを機にマタニティマークをつけはじめた。他の妊婦さんに対しても、私も妊婦であるということをお知らせする大切さを感じたのだ。
問題は通勤ラッシュ
しかし、席を譲る譲らない以前の問題で、席までたどりつかなくて死にそうになったことが何回かある。
私自身、産休に入る妊娠8ヶ月まで仕事に行っていて、その中で辛かった、しんどかったことベスト3くらいに入りそうなのが、通勤ラッシュである。
都内に住んでいて、しかも東京の中心部分へ上る電車に乗っていたので、その通勤ラッシュが半端ない。
まじでこんなの。毎朝。路線は山手線と京浜東北線を使っていた。どちらも、東京駅方面へ行く、混んでいる上り電車。
そもそも座席の方までたどりつけなくて、なんとか乗車するのでやっと。もちろん、時間を変えたり車両をかえたり、何本か逃したりして、乗る電車を選ぶが、山手線だとだいたいこんな感じ。みんなすぐ降りるけど、すぐ乗るのだ。
会社には、時差勤務なる制度があったけど(いい会社だと思う)利用するなら妊娠期間中のほんの一期間だけだと思ったので、利用はしなかった。だから、「電車に乗ってお腹を抱えながらひたすら電車が進むのを待つ」という日々だった。今思えば、危険だ。ほんの少しの衝撃でも、流産の可能性があるから。
さらに、こんな満員電車であるから、体調も崩しやすい。つわりで気持ちが悪かったり、お腹が大きくて不調だったりしたので、途中下車もしばしば。駅のトイレに駆け込んだことが時間のロスになって、会社の定時に間に合わず遅刻したこともあった。今思い返せば、苦労していたなあと懐かしく思える程度だが。
妊娠9ヶ月まで乗り切った!都内電車通勤のコツという都内電車通勤のハウツーがまとめられていたので、こちらで共有しておく。妊婦が電車通勤を乗り切るためにここまでしなくてはならないということ自体が、実に滑稽である。ただ電車に乗って目的地へ行くのに、こんなに苦労するのかと思うほどである。
まとめ
席を譲る譲らない議論は、みんなが子供を歓迎する社会になってほしいから、譲るような心優しい人が増えて欲しいと思う一方で、そもそも通勤ラッシュ時の、「この電車に乗れなきゃこの世の終わり」のような、戦国時代を思い返すような乗車戦争に関しては、とにもかくにも、なんとか改善していただきたいものである。都内への出稼ぎの分散化、在宅もしくは時差勤務の奨励、電車本数の見直し、都市構造の見直しなどだろうか。なんだかテーマが壮大であるので、企業もしくは自治体の偉い方々にも考えてもらいたい。
以上