今日のカンブリア宮殿を見ていたら、株式会社キングジムの商品開発のスタンスが素晴らしかったんですよ。
キングジムは、あの大ヒット文具商品であるお名前シールを作れる「テプラ」やファイルを作っている中小企業です。
小さいころは誰しも、自分の名前が印刷されてシールになる!感動を覚えたんじゃないでしょうか。私はこれを自分の持ち物に貼って、とてもわくわくしました。
夫と見ていて議論になったので、ここで紹介しておきたいと思います。ちなみに我が夫婦もモノづくり企業にいるんですけどね。
パッと読むための見出し
1割の人に刺さるものを作れ
キングジムの商品開発の掟として、「10人のうち1人は絶対買うという商品をつくれればいい」って宮本社長が明言しているんですよね。
実際に商品化されるのものは、役員10人のうち、1人でも欲しいと思ったものなんですよね。社長が欲しくなくても、役員のうち誰か1人が欲しいと言ったら、商品化。
でも、ふつうって、10人中9人に反対されたら作れないじゃないですか。途中で心折れちゃう。でも違うんですよ。
本当に自分が欲しいものをつくって、それを突き通せっていうんですね。
その理念を社員全員に浸透させている社長がすごいなぁと思ったんです。
そんなキングジムの開発の掟がこちら。
キングジムの開発の掟
アフィリサイトにも同じことが言えますね pic.twitter.com/zd3OESdlZX
— corky (@pooh85lights) 2015, 5月 7
- 1割の人に刺さればいい
- 市場調査はしない
- 居心地のいいニッチ商品を狙う
- 駄目だしをされても自分を信じる
物事には、万人にささるものはほとんどなくて、実はほんの一部の層しか買っていないっていうんですね。
これって確かにブログもアフィリエイトもそうで、万人に刺さる記事なんてほとんど存在しません。
記事を書く段階で、このターゲットの、こういう風に考えている、こんな人に読んでもらいたい!って思って書くんですよ。
そういう、狭いけれど読んでもらいたい層に向けて書くので、それが合致した際にはそこにぴったりと共感してもらう。ファンになってもらう。そんな風になっていると思うんです。
実際に有名な消費財メーカーのマーケティングをやっていた先輩に聞いた話だと、商品をつくるときは、必ずターゲットを明確にして絞り込むんだとか。
そして、ターゲットじゃない層が購入すると、どれだけ売上が上がっても失敗だ、って言うんですね。
なんとストイックな・・・!
と私は最初思ったんです。売上が上がるなら万々歳じゃないですか。他のターゲット層にもリーチできるし。
でも、本来ターゲットじゃない層は、自社の他の商品が狙っているので、マーケティング的には失敗なんですね。
この考え方は、まさにキングジムの商品開発と一致するなぁと思ったんです。
ニッチな層のブルーオーシャン戦略
キングジムは大企業でもなく、中小企業です。
そのため、どこを狙うかというと、数十億円の規模がちょうどいい、というんですね。
理由は、50億円の規模になると大企業が参入するから。
確かにこれはそうで、市場規模的に確実に儲かるところはみんな参入しますよね。
この、数十億円という規模がちょうどいい、ということを肌感覚でも認識していることが鍵なのです。絶妙なセンスがあるからこそ、市場調査なしでやっているのかなーと。(お前誰
ショットノートは400万冊を超える大ヒット
ショットノートという商品を知っていますか。メモ帳なのですが、専用のアプリをダウンロードして、スマホのカメラでメモ帳の内容を撮影すると、自動でテキスト化してデジタル化できるという商品なのですが。
この売上が400万冊を超える大ヒットとなり、開発者は現金50万円をもらったのだとか。
誰の言うことも聞かずに、自分が欲しいものをつくったと。それが大ヒットを記録したんですね。
キングジムの商品開発における発想術
そんな商品開発の発想術がこれまた商品開発している人たちに浸透していて。
極端に絞り込め
ロルトというスマホ専用プリンター商品があります。これはスマホの画面をそのままプリントできるというもの。
スクリーンを印刷できるという、機能が極端に絞りこまれた商品なんですね。
また、大ヒット商品の「ポメラ」のように、文字を打って電子メモを取るだけ、という商品もあります。
キーボードを打って、メモを取るだけですよ。パソコンでいいじゃん、って10人中9人は思うと思うんですが、1人は、パソコンだといらない機能が入っているから、こっちのポメラのほうがいい!って言って使う人がいるんですよねぇ。面白い。
これって、徹底的に機能を絞って、ユーザーに、「この商品はこういう使い方をしてもらいたい!」っていう強烈なメッセージを送ることができるんですよね。
あれもこれも全部入れて、何をしてもらいたいのかわからない商品になってしまった・・・みたいなことにはならない。
刺さるか刺さらないか、成功か失敗か、その潔さが成功を生み出しているんだなぁと。
組み合わせろ
キングジムの開発スタンスとしては、「世にないものをつくる」なのですが、実際に、0から作り上げた商品はほとんどないっていうんですよね。
0から作り上げるのではなく、既存のものを組み合わせて新しいものをつくる。
例えば、ノートと折り紙を組み合わせてノートから切り取って手軽に折り紙をできるようにしたり、マウスでスキャンができるマウススキャナーのように、マウス×スキャンといった、組み合わせたもの。
既存技術の組み合わせで少ない投資で済み、なおかつ今までにない商品を作りだしているんですよねぇ。素晴らしい。
商品開発へのスタンスが徹底的
技術的には、枯れた技術(最新技術ではなく昔からある技術)を使うことで、最先端の技術は必要がなく、アイディア勝負になるんですね。開発投資もさほどかからない。
そして、自分が欲しいものを作る。反対されても、1割にウケればそれでいい。
もちろん失敗は当たり前で、社長も売れないことに慣れているんだとか。
そういうときには、社員には、ヒットへのいい勉強だったね、と言ってまた次の商品開発へ活かすんだそう。
自分が上司なら、自分が社長なら、そんなことって言えますか。
社長の人材に対する考え方が素晴らしい
一人の社員が「これが売れる」と信じていれば、自分が欲しいと思わなくても9割の人が反対してもその社員を信じて商品化する。
これは社員に対するよほどの信頼がなければ出来ないのではないでしょうか。
「1芸に秀でた人を採用する」
「変な人間が面白い商品を生み出す」
これは社員の”得意分野”を尊重するというスタンスにつながります。
また、テレビでは2年目の22歳の若手一人に商品化をまかせる場面があったんです。そのような職場では、社員のモチベーションもすごく高まり意欲的に仕事ができる環境になるのではないでしょうか。
そんな経営者のもとで働きたい、って思いますよね。また、そんな経営者に憧れますね。イクタスもそういう運営を心がけたいものです。
まなしば的まとめ
1割の人に刺さればいい。
潔すよすぎてなかなかできないことですが、商品開発もブログメディアも、このスタンスでやっていきたいなと思いました。
おしまーい!まなしばでした。