男性の育児休業を考えてみる

育児休業給付金が3分の2へ引き上げ

育児休業給付金の引き上げが2014年4月より適用されそうです。現在国会に通常法案が提出され、改正雇用保険法案の作成中の模様。(ソースはこちらの日経新聞)

これは、育休取得前の給料の50%が給付されるのが現行だったのに対し、その割合が3分の2へ引き上げられるというもの。これはパパの育休取得拡大を狙い、女性が働き続けられるような環境をつくり、共働きで子供の出生率、第二子出産率も上げ、日本の経済、国の成長につながるといった考え方のもとでの引き上げです。

例えば、一ヶ月の平均手取り給料が24万円だった場合(単純計算です)、現行では24万×50%=12万円が給付されていたが、2014年の4月より、24万円×3分の2=16万円が給付となります。この差の4万円は大きいなという印象です。

ただし、今回の引き上げは育休取得の最初の6ヶ月間が対象であり、それ以降の育休は50%支給なので、注意が必要。というわけで今回、男性の育児休職を考えてみた。

そもそも”イクメン”がなかなか流行らない


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昨今、子育てに積極的な夫は、イクメンだ、と言われています。「旦那さんが家事育児に積極的だといいな~」なんて言葉もよく耳にします。

私はこの言葉に少し違和感を感じます。というのも、そもそも前提として、「夫=家事育児に積極的でない」という考えが元になるからです。

これは高度経済成長期に、男は働いて、女は家事という性的役割分業が見事に成り立っていた時代から引き継いでいるものだと思っています。

確かに実際、私の両親もそのような形です。しかしこの現象は日本のつい50年ほどの間に起こったことで、それより前は農業だったので、共働きが当然だったのです。

だからこの、男は仕事、女は家事という考えは、共働きを目指して女性の活躍も応援するという現代社会に合っていないと言えます。

そしてうちの場合、夫は家事も掃除も料理も洗濯もまぁ何でもやってくれます。見事です。いわゆるイクメンに属していると思います。感謝しています。その背景には、私が社会復帰したい、と思う気持ちを受け止めてくれている上での行動だと認識しています。(だから私は社会復帰に向けて勉強等をがんばらないといけないですが・・)

しかし、世間ではきっとそうではなくて、”イクメン”という言葉が流行っている時点で、イクメン普及率はまだまだ全然なんだなぁと思っています。

下記の図は厚生労働省の出している育児休業給付に関するものです。これによると、6歳未満の家庭における夫の家事育児にかかわる時間が、日本は他の先進国に対して圧倒的に短いです。

福祉大国のスウェーデンをはじめ、他のヨーロッパ各国やアメリカが、家事に1日あたり平均3時間ほどかけている(すごいですね)のに対し、日本は1時間といった具合です。

これは長時間残業からくるゆえの時間なのでしょうか。。それがもし本当ならばイクメンを流行らせない理由は長時間残業ですね。

だからこそワークライフバランス!と(株)ワークライフバランスの小室さんやNPO法人フローレンスの駒崎さんがおっしゃるのでしょうか。効率的に仕事を行い早く帰る文化をつくりたいものです。

男性の育児休業取得のハードルの高さ

さてイクメンが流行らない理由はわかりました。その中で、実際に育児休職を取得している実績がこちら。2010年度1.38%⇒2011年度2.63%⇒2012年度1.89%です。

この数字を多いと見るか少ないと見るかですが、父親の育休取得を拡大するという目標からすると、かなり低いのではないでしょうか。2012年度なんて前年より減少しています。

しかしこの数字は、制度的に「育児休暇」を1日でも取得したという数字なので、有給を使用した場合や他の休暇を使用した場合は含まれていません。

なので子育てを目的とした休暇は、この数字より多いかもしれませんが、まだまだ父親が育休を取得するということはハードルが高いように思います。

そこでそれに際する興味深いデータがありました。パパが育休を取得しなかった理由について質問した厚生労働省の調査では、「職場が制度を取得しにくい雰囲気だった」が30.3%と最多を占めています。

それに続いて「業務が繁忙であった」が二番目に高く、29.7%となっています。

つまり、男性がいかに職場に気を遣っているかが見て取れます。

ちなみに、「収入が減り、経済的に苦しくなると思った」は第5位で22.0%となっています。したがって、育児休業給付金の給付率が50%から67%に上がっただけでは、男性の育休取得率が大幅に上昇するとは考えにくいところです。

男性も欧米諸国のように育休を取りやすい雰囲気に変えていくことや、社会みんなで子育てをするというマインドをみんなが持つなど、国の政策以上に、子育てについて社会全体で考えていかなければならないと思います。

少し長くなってしまったので、次回は育児休業給付金が3分の2になった場合の、夫婦の育休の取得のパターンについて考えたいと思います。

参考リンク