「保育園落ちた日本死ね」。この、保育園の待機児童の問題が、ここ数ヶ月ずっと世間を賑わせています。
私自身も、“保活”、いわゆる保育園を探す活動をしていた昨年に、こんなに保活が大変なのはそもそもおかしい、と思ってこのブログを書いていました。
それから、実際にブログを読んでいただいている方がこんなに集まるなら、コミュニティにしちゃってみんなで情報交換とかできればいいんじゃないか?と思い、東京都大田区の保育園情報交換グループを、Facebookグループで作りました。
それがあれよあれよと、私も騒ぎ立てていたこともあり、700人を超えるまでに(もちろん大田区以外の方もいらっしゃるかと思いますが)。それだけ皆さん、藁をも掴む思いで保育園を探されているんだと思うんですよね。
で、ですよ。
それで集団の異議申し立てとかどうやってやるのかな、って調べたり、過去にそれを行った方などをご紹介いただいた流れで、国会の衆議院議員会議室で、議員さんに生の声を届ける場があるから来ないか?ってお誘いいただいて、それは勉強になりそうだしいい機会だなと思って、行ったんです。昨日。
「保育園」に関する親たちの叫び
ってかそもそもわたし、政治に全然詳しくないし、国会とか初めて行ったんですけど、想像していた以上に大規模な集会でした。
保育園問題で声をあげたいとやってきた保護者が50名ほどと、それから国会議員が述べ19名。推定200人くらいの会議室で、報道陣のテレビカメラなど10台はあったかな、というそうそうたる空気。
事前に、顔出しがOKの方は「1人2分くらいで、思いを述べてください」って言われていたので、保護者たちがマイクを片手に正面にいる国会議員に訴えました。途中国会議員からコメントがあったり、挨拶があったりと終始緊迫した会でした。
で、ですよ。
集まった保護者は何を訴えたかったのか、というところです。保育園問題といっても、待機児童の話だけではありません。
私はシンプルに、「普通に働きたいだけなのに、子どもを保育園に入れるために大変な思いをする社会はおかしい」ということを伝えたのですが、他の保護者のお話が、あまりにも印象的なものが多すぎたので、紹介させてください。
①保育事故で実際にお子さんを亡くされたお母さんの涙ながらの訴え
もうねこれ、聞くのがつらすぎた。認可外施設に子どもを預けて、保育園でうつぶせ寝をさせて、当時1歳7ヶ月の娘さんを亡くしたというお母さんの訴え。
その後毛布をかけられたお子さんの異変に保育士が気付いたときには、もうすでにあごの部分の硬直が始まっていたと。そして救急車で運ばれたが時すでに遅し、と。
お母さんはそのときを思い出して、言葉につまり、涙ながらに訴えていましたよ。
「まさか、子どもを預け始めてわずか5日で認可保育園へ移れるという承諾通知を受けて5日後に、そんなことが起こるなんて思わなかった」と。
「たんに保育園を増やすだけでなくて、ちゃんと質を担保した上で増やしてほしい」、「資格のない人が保育に関わる規制緩和は絶対にしないでほしい」と。
その後息子さんを別の保育園にあずけて思ったことは、同じ自治体の保育園でも、こんなに保育の差があるのか、と言われていました。それだけ、たんに保育園だけを増やせばいいということではないことが、わかりますよね。でも難しい・・。待機児童がこれだけたくさんいるなかで、増やす増やすという作戦は重要ですが、とはいえ質の担保も大事なので、そこを専門家がきちんと見極めながら、増やしていかないとだめだと思います。
でも、預けて5日でそんなことが起こるなんて・・・親としては信じたくないし、そんな短期間でやっぱりこの保育園に預けるのをやめようとか、判断できますかね。・・私はできる自信がないですよ。
このお母さんは、育休明けで認可保育園に入れなくて、育休を延長して、やっとの思いで認可外保育園にやっと入れたそうです。そんなせっかく苦労して入れた保育園での事故・・・。この先こんな事故絶対起こしてはだめですよ・・。
2016年3月28日訂正:
認可外保育園へ預け始めて5日後の事故としておりましたが、正しくは「認可外保育園で待機をつづけていて、やっと認可保育園に入れるという通知が来た5日後」でした。誤りを掲載してしまい、申し訳ありませんでした。
つまり認可保育園に移れると通知が来た矢先の出来事、とのことでした。せっかく移れることがわかったうえでの事故・・・悲しすぎます・・。
②埼玉県所沢市の育休退園問題
埼玉県の所沢市の育休退園問題ってご存知でしょうか。所沢市だと、上の子を保育園に預けていて、下の子を産んで育児休業に入ったら、その上の子が原則2歳以下だった場合は、保育園を退園させられるっていう、制度です。
行政側の意図としては、育児休業を取った人は退園してもらって、その枠を他の待機している人に回す、というものだと思うのですが、じゃあ次2人目が生まれたときに必ず保育園に入れるのかっていう約束と、なおかつ同じ保育園に入れるのかっていう話ですよね。
これは当時もものすごく話題になって、賛否両論あったんですよね。「確かに空いている枠を他の人に回すことは正しい」、一方で、「そんなの一時的な効果でしかない」とか、「そもそも2人目を産むのに躊躇する、少子化を加速させる」っていう意見も出て。
で、この問題に反対されていて、訴訟を起こされている方々が来られていて言われていたんですよ。
「保育園に入れる点数のボーダーラインが、育休で退園となった対象者しか入れなくて、たとえばシングルマザーの方はそれよりも点数が低くなり、入れないようになってしまっている」と。シングルマザーでも入れない、ですよ。
つまり椅子の増えない椅子取りゲームを永遠とやっている感じですよね。椅子を増やさないとずっと取り合いになるっていう負のスパイラル・・。
訴え続けているそうですが、所沢市は聞き入れてくれないそうです。
そこで厚生労働省にも訴えたそうですが、基本的には行政にまかせていて、国は介入できない、と・・。なんだそれ案件。
行き場のないお母さんたちの悲鳴が、国会に行き着いたわけですね。この制度、なんなんだろ。とりあえず個人的には所沢市には住まないことにします。
あと、実際に所沢市の保育園内のお母さんたちの間でも、2人目の妊娠が減っているという話もありました。2歳以下なら育休したら退園しないといけないって言われたら、じゃあ最低でも3歳は年齢離そうってなると思うんですけど、子どもを産む時期って本来そんな選ぶものなんですかね。保育園のために?おかしいでしょ。そもそも高齢出産ママならなおさら2人目は急ぎますよね。はあ。
③保育士の待遇もブラックそのもの
都内の認可保育園をやめた保育士さんの男性の話も、ちょっとひっくり返るかと思いました。以前勤務していた保育園では、保育士の募集当初は、その募集要項のWebサイトに、残業代も支払うと、書かれていたと。
でも実際に勤務してみると、残業代はまるで支払われず。それを指摘したら、なんとサイトの残業代に関する部分が消されていたそうです。なにこれw完全に魚拓案件でしょ・・。
「月に40時間以上残業をしても支払われないのはそもそも法律違反だから、まずは法律違反を検挙したうえで、保育士の待遇改善をしてほしい」、と。そりゃそうだ。
もちろんこれも極端な例だとは思いますが、残業代を支払われないというのは、私も保育士さんから実際よく聞くので、けっこうまかり通っている事実なんだと思うんですよね。
保育士の給与をあげるっていう施策も、もっとやればいいと個人的には思いますが、保育園の経営側ではなく、ちゃんと保育士に配給される仕組みにしてほしいです。
④安心して働きたい、子どもを保育園に預けたい
1番身近だな、ありがちだな、と感じたお母さんの話。
「復職したいと思って、子どもを保育園に預けようと思って保活をしていたら、周りからも1歳は激戦だから0歳で復職して子どもを預けたほうがいいという話を聞いて、正直1年くらいは自分で子どもを見たいなと思ったけれど、保育園に入れずに復職できないのは困るから、がんばって保活をした。
けれど、認可保育園は全部落ちて、認可外保育園にも電話をかけまくって。そしたら100人待ってますとか、もう途方にくれて、ストレスで母乳が出なくなった。
やっとの思いで小規模保育園に決まったけれど、新設の保育園で、見学にいったらまだ工事中で。もうすぐ開園なのに、大丈夫なのかな・・って。
職員室で面談したけれど、もちろん机もないから、床に座って面談・・。養生テープがそこらじゅうに貼ってあって、本当にここに子どもを預けられるのだろうか・・?不安でいっぱい。
そこは2歳までしか預けられなくて、また来年、再来年とどこに預けるのかを考えないといけなくて。辛いです。」と。
このお話を聞いて、都内での保活のありがちな話が詰まっているなと感じたんです。
整理すると、
- 1歳だと激戦だから0歳から預けることを考えるということ
- 認可保育園に入れないということ
- 入れなくて認証・認可外などの保育園探しに奔走すること
- 復職ギリギリに決まってバタバタすること
- 3歳の壁(2歳以下までしか預からない園・施設があること)
ですね。
1つ1つやっつけていきましょうか。
まず0歳から預けるっていう話ですが、やっぱり絶対復職したいってなると、どこかに子どもを預けないといけません。都内だとどこも年度途中(4月入園以外)の入園は本当に難しい上に、地区によっては0歳児のほうが入りやすかったりといろいろなので、確実に入れる月齢で子どもを預けたいですよね。この方はその判断をして0歳で子どもを預けるという選択をしたと。
でも認可保育園には入れなかった。
東京都が管轄の認証保育園や、それから認可外保育園にも問い合わせ続けたけれど、待ち人数が多すぎる。どこに入れるのかもわからないから、自宅から通える範囲を、はたまた通勤途中の駅の保育園に問い合わせたりと、奔走するわけです。
電話で問い合わせだけだったらまだいいんですよ。実際に見学にも行くわけですね。まだ歩けもしない0歳、1歳の子どもを連れて・・。
そんなやっとの思いですがりついた保育園、決まったはいいけれど、復職まで時間がなさすぎて、保育園の入園準備もしないといけないのに、時間がなさすぎる・・。
それに、3歳以降は預かっていないから、また転園しないといけないっていう。
もちろん入れることは万々歳ですが、1つの保育園に預けるだけでこんなに大変なのに、また保活をしろ、と・・?
それって、目指すべき社会なんでしょうか。
働きたいと思ったときに子どもを安心して預けられて、しっかり働ける、そういう社会を目指すべきなんじゃないでしょうか。
情報に強くて、妊娠中から、大きなおなかを抱えて保活をがんばっていた人だけが、保育園に入れればいいんでしょうか。
違うでしょう。
普通の人でも、情報に強くない人でも、働きたいと思って子どもを預けたいと思ったら、預け先があって、安心して働ける―
そんな社会を目指すべきでしょう。
こんなことをいうとね、賢い人たちは、言うんですよ。
「私は事前に情報収集をしっかりやって、住む場所も変えて、妊娠中から活動して、ちゃんと保育園に入れました」って。「保育園に落ちたって騒ぎ立てる人はそういうのをやっていないし、自己責任だよ」って。
いやいいんですよ。素晴らしいです。ブラボー。あなたはリテラシーが高いし、自分を変えて適応してきたんですよね。素晴らしいですよ。
でも、ね。
その保活にかける無駄な労力を、他の人にもずっとさせるんですか?
みんながみんな、結婚してどこに住みたいか考えた時に、わざわざ保育園に入りやすそうな土地を探して、妊娠中からまだ生まれてもいない子どもの保育園を探して、子どもが生まれてからも歩けない子どもを連れて電話に見学にと奔走して、入れそうな保育園をリストアップして、2人目も考えたいけれど育休で退園させられるのかどうかの確認とか、するんですか??
保活のために子どもを産む時期を選んだり、住む場所を選んだり、たくさん情報収集をして、莫大な時間と工数をかけるんですか?
もちろんやりたい人はやればいいんですけど、みんながみんなそうじゃない。こんな労力かけてやっと入れるなんて、おかしいって、思ってる人がほとんどですよ。ですよねお母さん。?
働きたいっていう権利は誰にでもあるし、だからこそそれと同時に、安心して預けられる権利がほしいんですよ。
これだけ保育園に入れるのに苦労すると、自分が働くこと自体が否定されている気分になる・・。
女性の活躍〜〜とか、少子化高齢化だから子ども産んで〜〜って、いや、わかるけれど、だったらその環境整備しようよ。
少子化だから子どもをうんでって言われて、不況だから母親も働けって言われて働きたくても、いやいや保育園足りませんやん入れませんやん、って。言ってることと実態が違いすぎる・・。
与党とか野党とか関係ないと思う
前述したように私は政治はよくわかっておりません。すみません、勉強不足です。今まで政治って自分の生活に、さほど関係のないことだと思ってました。一応選挙には行っていたけれど、街頭演説とか聞こうと思ったことないし、選挙期間中とかなかなかの大音量で車が走ってて、あまりいいイメージがない・・。っていうか興味がなかった・・。
でも、この保育園問題は、政治なんですよ・・。最近こういう活動とか、あと区への動きとかやっているなかで、区議会議員さんに会いに行ったりしているんですけど、やっぱり国作りとか、地域作りとかって、政治なんですよ・・。税金を使って予算を組んで決まりを作れるんです。そのひとつが保育園問題。
与党、野党とかって言うけれど、どういうことかっていうと、とくに与党で政権を握っている自民党、それから公明党を動かしてこそ、制度が整うんですね。もちろん他の野党の方々を動かして、意見をしっかりしてもらって、正してもらうことも大事です。野党はそれが役目のはず。
なんですけれど、政党でもなんでもいいんですけれど、なんかこんなに緊急事態っていうか、少子化とか国の問題なんだから、みんなで力合わせてやってよ。
もちろん進んでいるとは思いますが、やっぱり選挙の票にならない母親たちの層=軽視、ってあると思うんですよね。だから投票率あげてちゃんとみてるよって示すしかない。
いまこれだけ保育園問題で母親たちが声をあげているっていうことに国会議員さんたちも気づいて、昨日もたくさんの国会議員が来ていました。
▲2位じゃダメなんですか?で有名な予算削りキャラの民主党の蓮舫議員
▲社民党の福島議員
民主党の山尾議員をはじめ、最初は野党の方しかいらっしゃらなかったんだけど、公明党の副代表の古屋議員が来られて会場がちょっと湧いてました。でも自民党の人は誰も来ていないってなっていて。なるほど、与党にはそんな縛りもあるのかなと思いました。庶民の素人としては、野党でも与党でもいいから、正しいことを推進してほしいんですけど。
とはいえ、こうやって市民の生の声を、しっかり聞く姿勢を取られている、というのはとても大事なことです。いま保育園問題はこうやって母親たちが声をあげたことによって、動かしてるんですよ。やってみるもんですね、って思いません?
だから、ちゃんと注目してるよ、民主党さん、保育士の待遇改善で給与を5万円アップさせる法案を出すって言われていましたが、ちゃんと折れずに交渉して、実現させてくださいね、って。
だから、とにかく我々は選挙にいって投票し、ちゃんとやってねって見ないといけないんですよ。
どの政党に、誰に投票したらいいかわからないとき
でもたぶんどの政党に、しかも誰に投票すればいいかってわからないんじゃないかなと思うんです。私もよくわかりません・・。
だけれど、最近だとネット上で、自分の考え方がどの政党に合っているのかわかる政党診断みたいなのもありますし、まずはそういうのでやってみて、投票してみればいいと思います。私も使いました。政党を選んだら、その地区での候補者はこの人です、みたいに出るんですよ。それで選んで、投票すればいいし。
・・・わあ、超長いこの文章。読んでいただいた皆さんありがとうございます。とりあえず選挙にいきましょう。とくにこのブログを読んでくださっているママパパ世代がしっかり声を出すっていうのは重要です。ほんと。
別にどこかの回し者とかでもないですからね。こういうの言っていると、モチベーションってなんなんですか?って言われたりするんですけど、単純に私は周りの友人たちより少し早く子どもを産んで、社会の不条理に気づいて、同じ思いを他の人にさせたくないって思っているからです。
大学時代の友人たちもみんなまだバリバリ働いているんですが、子どもを産んで、やっぱりこの国は子育てしにくいわ、ってなってほしくないんですよね。悲しいじゃないですか。子どもが大きくなった時もそうです。そんな国にしたくないんですよ。日本めっちゃいい国だと思いますし。
はい、読んでいただきありがとうございました。