「保育園見つからず退職せざるを得ず悔しい」「3割が妊娠中から保活」アンケート結果を大田区と厚労省に届けてきました

まなしばです。ここ数ヶ月保育園の待機児童問題に取り組んでいます。

で、私は主に自分の住んでいる東京都大田区のコミュニティをつくって活動しているのですが、ここで「保活に関するアンケート」を作成しました。

全結果を見たい方はこちら。

>>大田区における保活の現状と課題 2016年4月8日

>>質問項目の調査票はこちらからダウンロード

※ダウンロードや配布などは自由にやっていただいて構いません。むしろ拡散してください。画像や文章を利用される場合は、出典元をこちらのブログにしてください。

で、この結果を大田区とそれから厚労省に届けてきました。

ここでは、まずこの保活に関するアンケート結果を紹介します。はじめに中立的にデータ結果を紹介し、最後に意見と提言を紹介します。

アンケートの実施概要

2016 年 3 月 26 日~4 月 1 日
WEB アンケートにて 203 名の回答
(うち、集計に用いた有効回答数は 191 名分)
おもにFacebookグループの大田区情報コミュニティにて回答を募集

0歳児が43.5%、そして1歳児の申し込みが49.2%と、全体の結果の9割以上を占める。

ここでいう想定指数ですが、大田区ですと「両親ともにフルタイム・外勤」だと22点という指数になります。つまり約7割の人が22点。そして認可外や認証保育所に預けて認可保育園への申し込みを行った人が+1点で23点、兄弟がいる人は+2点となり24点などとなります。

同じようにシングルマザーやファザーもさらに点数が高くなりますが、ここでは両親ともにフルタイムのサラリーマンという方がほとんどを占めています。

アンケート結果

平成28年4月からの子どもの預け先

93%がどこかしらの託児先に決定していますが、7%はアンケート実施時点(〜4月1日)でいまだ託児先が未定という状況です。

認可保育園に入園することができているのは 38.2%という結果です。また認可保育園にはいれなかった人の利用予定の保育サービスとして最も多いのは、認証保育所でした。

預け先が決まっていない人は13人「昨年秋に既に育休延長済みのため退職せざるを得ず、悔しい」

実際に預け先が見つかっていない方は13人いました。

4月からの預け先が決まらない場合の対応について聞いたところ、

育児休業を延長する人のコメントとしては、「半年のみ育休延長可能な為、しかし半年以内に決まらなければ退職しなければならない。(調布・馬込地区/0 歳)」「近隣に頼れる親戚はおらず、認可・認証を含め保育園は全滅だった為やむを得ず延長せざるをえなかった。(矢口・千鳥地区/1 歳)」

退職を余儀なくされる人のコメントとしては、「昨年秋に既に育休延長済みなので、退職せざるを得ないと思います。悔しいです。(調布・馬込地区/1 歳)」「会社の育休期間がおわり、預けられる場所もないため、退職せざるをえない。(矢口・千鳥地区/1 歳)」といった声が挙げられました。

認可保育園以外に内定した人は、続けて認可保育園に申し込みを続ける

認可保育園以外の保育サービスの利用が内定している人のうち、約6割が今年度中に再度認可保育園への申し込みを行いたい、とこのこと。

認可保育園への申し込みを今後考えている人の理由としては、「認可外保育園の保育料が高いこと」、「保育園の設備に不満があること」、「今の園では3歳以降保育が受けられないこと」等が挙げられました。

認可保育園に人気が集中し、それは認可保育園以外の保育料の負担が大きいことが伺えます。

では、いったい保護者はどれくらいの保育料が適正だと感じているのでしょうか。

適正だと感じる保育料は3~5万円

適正だと感じる月額保育料については、3 万円以上 5 万円未満が最多という結果となりました。多くの認可外保育サービスの月額利用料金が 5 万円を超えることを踏まえると、②の認可保育園申し込み意向理由と同様、経済的負担を高いと感じる層が一定存在することがわかります。

保育料が適正だったとき、利用したい保育サービスは認可保育園

保育料が適正だった場合に、利用したい保育サービスはどこかを聞いてみました。

すると圧倒的な人気で認可保育園という結果になりました。また、小規模保育所、定期利用保育、保育ママなど、期限付きの保育サービスの利用希望は少なくなっていました。

保育園を選ぶ基準は?

保育サービスを選ぶときに重視するのは何ですか(複数回答可)という質問をしたところ、「自宅や職場からのアクセスの良さ、通いやすさ」が他の項目を大きく上回りました。

「保育時間(1日のうち何時から何時まで預けられるか)」、「保育期間(何歳から何歳まで預けられるか)」については、複数回答では重視していると答えつつも、最重視点としては挙げていない人も多く、「重視したいがその点を優先すると子どもを保育園に入れられない」という状況が推測できます。

保活開始時期:産後3ヶ月より前の人が約半数

保活(保育園探し)を始めたという人の半数近くが、産後産後3ヶ月より以前から活動をしており、なかでも妊娠中から保活を始めたという人は35%いました。身体的負担の高さが伺えます。

ただ、少し注釈を加えておきたいのは、アンケートを募集した母体自体がSNS上の保活コミュニティということで、もともと保活への関心がとても高い層だと言えるかと思います。

問い合わせを行った保育サービスの数は6件〜10件

認可保育園、認証保育園ともに、3~5 件の問い合わせと見学を行った人が多く、全体の 4 分の 1 以上はともに 6 件以上の問い合わせを行っていました。

逆に、子どもの年齢制限による要因も考えられるが、小規模保育所やその他保育サービス(保育ママ、定期利用保育等)への問い合わせ、見学は行っていない人が多いです。

保育園に内定したのは入園1ヶ月前が約半数

保育園に内定した時期を聞きました。

半数近くが入園予定時期の1ヶ月前以降という時間的に余裕のないタイミングでした。

保活で大変だったこと「身体的負担」

保活で大変だったこととして挙げられたのは、大きく分けて多い方から「妊娠中など早期から役所および保育園に足を運ばなければならず身体的負担が多かった」、「認可外保育園の情報や申し込み手続きが一元化されておらず負担が大きかった」、「認可保育園結果発表の時期が遅く、その後の活動や復職に支障が出た」といった声が挙がりました。

有効回答 191 名中、70 名からコメントを得た。多かった声としては、「認可外保育園の申し込み・管理一元化希望」「選考基準指数、調整指数への不満」「3 歳以降の保育園枠への不安」「認可外保育料への補助希望」「IT を用いた情報提供希望」「認可保育園結果発表が遅い」「高収入家庭への不公平感」等が挙がりました。

また、結果として、「大田区での子育てを考えられない」といった区民減少につながる声や、「二人目以降の出産をためらう」といった少子化につながる声も複数挙げられました。

その他フリーコメントとしては、PDF資料の付録を参照されたい。

区・国への提言「できるところから改善していきたい」

区議会議員との懇談会を開催して、様々な政党の方々にこの資料内容を伝えてきました。

いますぐに認可保育園をたくさん作れと言っているわけではなく、なるべく負担を軽くしつつ、できるところから改善してほしい、ということを強調しお話しました。

もっと積極的な情報開示を

まず大田区では認可保育園の合格点数を区役所に電話で問い合わせたり直接聞けば教えてくれるのですが、HPでの公開などは行われていません。

窓口で対応してくれる職員も、それから保護者もわざわざ聞かないといけないので、大変手間です。教えてくれるのであればサイトで公開しましょうと伝えました。

情報の一元化

それから、都が独自に認めている認証保育所、それから認可保育所についても、情報を一元化できないのか?ということです。

認証や認可外施設については個別に問い合わせしかできず、基本的に区も「それは各施設に聞いてください」としか言われません。認証保育所に問い合わせても、ただでさえ忙しい保育士さんたちが日中ずっと電話がなっているような状態になっていたりと、保育の質に関わるのでは?という話もでました。実際忙しすぎるのか、電話がつながらないところも多数とのこと。親も電話をかけるのが申し訳ない気持ちになりつつも、でもどこかに入れないと、という悪循環。

現場の負担を減らすためにも、ある程度管理を集約できないものかと思っています。

選考発表を早める

とくに今年度大田区では認可保育園の選考発表が遅く(他区よりも1〜2週間ほど遅かったという話も)、認可保育園がだめだったら大田区内だけでなくとなりの世田谷だったり品川区の認証や認可保育園にあたっていくのですが、すでに定員でいっぱいなど、本当に大変な思いをされた方も多くいました。

また、入園の1ヶ月よりも前にやっと内定した、という方も半数近くだったこともあり、職場に迷惑をかけたり、入園準備がバタバタして大変だったという方も多くいました。

なので、他区と同等程度の時期に発表してほしいと伝えました。ただ、全体を見た場合、保育園の空きの席取り合戦でもないので、もっと根本的な解決が必要ですが。。

認証保育所や認可外保育所にもっと補助を

認可保育園に集中しているのは、それ以外の保育料の高さによるものだという見方もあります。

大田区では2016年現在、認証保育所へ預けている世帯へは以下の様な補助金を定めています。

以前はこれ1万円だけだったそうですが、所得によって変わるよう、補助金が上乗せになったとのことでした。これも区への陳情の成果があったからなのか?というのはわかりませんが、やはり訴えていくのは重要そうです。

また、認可外保育所への保育料の補助は現状ありませんが、たとえば世田谷区などでは限定的にでも認可外保育園に入っている人への補助があったりします。

なので、認可保育園だけでなく、認証保育所や認可外保育所への補助をしてほしいと話しました。

小規模保育園を卒園したら受け皿はあるのか?

小規模保育園は基本的には2歳までという施設が多く、3歳児以降、ではどこにいけるのか?いくのか?という親の不安があります。空きがあるならどこの空きがあるのか、どこへ行けるのかなどをしっかりと説明してほしい、と伝えました。

個人的な意見

はい、ここから私個人の意見です。

まず、実際に退職者が出ていることや、それから育休を延長している方がいるのは、社会にとっても大損失なのではないでしょうか。

しかも退職した人とか、育休を延長している人って待機児童の数には入らなかった(今まではカウントしていたけれど定義が変わった)と認識しているのですが、こうも我々のほうで調べないとわからない数字が出てきて、非常にもどかしさを感じます。

ちなみに、このアンケートの集計やグラフ化などは、マーケティングのプロのママ3人にやっていただきました。すごいですよね・・。こういう人たちを退職させたら、本当社会の大損失だと思うんですよ。

また、お腹が大きくて大変な妊娠中や、産後まもない時期から保活をしている人が多く、あまりにも身体的負担が大きすぎていて、馬鹿げていると思います。これ国会で厚労省あてにも同じ話をしたんですけど、もうなんか理不尽すぎて、私怒ってますって言ってしまいました。ああ

また、保育園に入れなさすぎて、復職の時期もギリギリにならないとわからないという話もありましたが、こういうのも、職場でもすでに配属とか人員計画とか決まってますよね。突然復帰できると言われても困ったり、また復帰できないとなっても困るんですよね確実に。

そういう中で「ああ、やっぱり子持ち女性って使いにくいわー」みたいな風潮を生み出している原因にも少なからずなっているのだと思います。そのしわよせが保活ママに来ているって・・・ああ。

また、やみくもに保育園って増やせばいいのではなく、やっぱり子どもの命を預かる仕事なので、保育の質も大事なんですよね。保育士って子どもと遊んで子守しているだけ、ではないんですよ。だからもっと保育士の仕事がもっと高く評価されるべきだし、国も保育士の待遇改善に予算を割くべきです本当。もっと中長期的な視点で、子どもを増やす国作りをしていかないとだめです。

でも、会社も育休取得者をもっと待てないのかな?と思いました。こんなに保育園探しが大変だし、年度途中の入園なんて都内だとどこも難しかったりするので、1年半までの育休だと、入れない可能性がある人も出てくるんですよね。

だからみんな安全パイをとるために、0歳で認可外に預けて加点して→1歳から認可みたいな話になっているんですよね。でも0歳児って保育園側からしたら非常にコストがかかっていて、大田区だと1人あたり月額約63万円かかるんですよ、経費諸々含めて。

でも保育園入れなくて復帰できないのはまずいから、0歳で前倒して泣く泣く復帰、という意見もたくさん見られました。

そんな悪循環は本当悪なので、もっと、社会全体で、「子育てがんばってね、子育てで成長して新しい価値観を手に入れた人間になって、また戻ってきてね、ゆっくりでいいから」っていうのが足りてないなと思います。もちろん大企業とかだと企業内保育所をもうけたりしていると思いますが、足りてないですよね・・。

いままた保育園を新規で開設しようにも住民が反対して開設できない問題が取り沙汰されていますが、ちょっと日本はあまりにも子育てを歓迎できていなさすぎるんじゃないかと思います。長くなってきたのでこれについてはまた別途。

また明日も区議会議員さんと懇談してきます。適宜ブログで報告していきますので、今後ともみなさんよろしくお願いいたします。